写真展 「須賀利で見つけた宝物」開催のご挨拶    2006年9月22日

 尾鷲市須賀利浦は、20数年前に県道が開通するまで自動車で乗り入れる道が無く、山道を歩いて峠を越える以外には巡航船のみが唯一の交通手段であった海里で、今も行政上の飛び地となっています。往時には人口1,300人を超える漁業の町として賑わったそうですが、社会環境の変化に伴い人口流出が止まらず、今や人口300人余りの静かな漁村となりました。
 熊野古道の撮影をきっかけに東紀州の風土を追い求めるなかで、須賀利に通い始めて約2年、その回数は30回に達し、撮影したフィルム(ブローニー6×7判)は1500枚を超えるものとなりました。
 この度、三重大学が須賀利を対象とした地域総合調査プロジェクトの成果を「海の博物館」で特別展示されるのに併設して写真展を開催する機会を与えていただくこととなりました。昨年の現地調査に同行したのがご縁となったものですが、もとより、調査研究に値するような理念とは程遠く、須賀利に魅了された一人が撮り溜めた写真に過ぎません。しかしながら、須賀利に寄せる想いには共通のものがあり、拙い作品ではありますが、須賀利から発せられるメッセージの一端でもお伝えできればと、ご好意に甘えることとなりました。
 須賀利浦に点在する風物は、長い歴史と風土のなかで培われた年輪を重ね、掛け替えの無い宝物として私の目に映りました。けっして珠玉の光沢を放ちはしませんが、いつまでも大切に仕舞っておきたい宝物に出会えた幸せを、より多くの皆様にも体感していただきたく、ご高覧賜りますようご案内申しあげます。